RPG Developer Bakin

「ゲーム作りも、サバトみたいなものだ!」(開発80日目・睡眠不足)

祁答院慎の一人親方ゲーム工房

開発ブログ「Made with RPG Developer Bakin」第4回

 「RPG Developer Bakin」でのサンプルゲーム制作も、いよいよ物語の構築を越えて、“実際に動かす”制作工程の核心へと突入しました。時に“ドット絵沼”に沈み、時に厳しく詰められつつも、仲間たちと共に、キャラクターデザイン、ドット絵、マップ、ロゴ、イベント、音楽といった“素材の儀式”を重ねながら、祁答院さんがひとつの世界を呼び出していく過程をお届けします。

祁答院 慎(けどういん まこと)
日本のゲームクリエイター・シナリオライター。兵庫県尼崎市出身。学生時代に自作したホラーゲーム『コープスパーティー』が同人作品として注目され、後に商業化。シリーズはゲームだけでなく、小説、ドラマCD、アニメなど多方面に展開され、国内外で高い評価を受ける。ホラーやサスペンス、青春群像劇など人間の内面に迫る重厚なストーリー作りに定評があり、独特の恐怖演出や心理描写にファンが多い。近年もゲームや小説で新作を発表し続け、精力的に活動。制作スタイルとして「まず物語から考える」ことを重視し、自身の体験や感情を反映させながら作品世界を構築している。

10月某日(開発六十一日目) 佳境院・元副編集長に詰められる

始まっております、「RPG Developer Bakin(以下Bakin)」を駆使して、「限られた期間でなんか面白いサンプルゲームを作る」企画。
 お題も「サバトの女王」リメイク・序章と決まり、製作も進むなか、いよいよ佳境に近付いてきた開発六十一日目となりました。しかしこのとき祁答院は、先月のブログで触れた通り、楽しすぎる「ドット絵沼」にはまってしまったために、進行がややスケジュールから遅れ気味に……!

 そんな時。苦しい時、困った時に、いつも優しいエールを下さるのが、「ログイン ソフコン」誌の元副編集長、杉肉さん。

――曰く、

『君のお化け屋敷(コレクションルーム)を、本当のお化け屋敷にして(破壊)やろうか』

『息子さん(マサムネ・猫)可愛いね……彼の悲しむ姿を、見たくないね……』

『君は今日から、佳境院だ』

――と心温まるメッセージを頂き、祁答院は大いに発奮!

あっという間にキャラドットを描き終えたのでした! いやあ有難うございました!

渾身のドットが揃いました。キャラデザインと併せて、公開をお楽しみに!

 今回作成する「サバトの女王」は、もちろん原作のままにファンタジーの世界観です。

「スノーハーブ」を探して、不安にまみれて森の中を駆け回る主人公パフ……という冒頭のシーンでも描かれていますが、「サバト」において“深い森”という背景マップは、重要な意味合いを持っています。

ここまでの研究と経験、渾身の試作ゲーム「俺の伝説~The Legend of ORE~」で培ったエネルギーをいかんなく発揮した、重厚で静謐な森フィールドが出来上がったのですが、ここで杉肉さんと一緒に僕のゲーム制作を見守って下さる、Bakin開発チームリーダーの長井さんに、よりマップが格好良くなる手ほどきを受けました。

――そして! これが、ひっくり返るほど格好良くなりました! 見て下さい!

『サバトの女王』(原作:写真下)でも登場した森のシーン。これが、こうなる!

これは完全にアップグレード。原作の森から、こんなに表現力豊かな森が誕生するなんて……! 自然な「岩」の埋め方による、フィールドのランダム感の強化と、「マップチップを並べた感」の軽減などの効果が、如実に表れています。長井さん、本当に有難うございます!

またこのブログでご紹介して参りますが、今回のサンプルゲーム作成に向けて、沢山の方の力をお借りしています。

全曲ではないですが音楽はもちろん、いつもの彼(!)ロゴのデザイン、キャラのデザイン、それぞれプロの方による描き下ろしで、「新生サバト」を彩って頂いています。

すべての皆様に感謝をしつつ、僕も本気でシナリオを書き下ろして纏め上げて参ります。どうぞお楽しみに!

長井伸樹さんXアカウント: @nobukinagai

前回ご紹介した映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の「MISSING BEAR」、気になる方は今でも「まんだらけ」さんなどを探せば見つかるかとも思います。出会いを待っているアイテムたちと、皆様にご縁がありますように。

 そんななか今回ご紹介するものは、世界に一つの特注品、ゲーム『コープスパーティー Book of Shadows』に登場する恐ろしい本、「ブック・オブ・シャドウズ」の1/1サイズプロップです。これも何気に公開するのは初めてかもしれません。

前回のブログに、僕の描いたデザインイメージのラフ画があったのですが、それを基に造型師のお友達、初田晃一郎さんに立体に起こして頂きました。宝物です!

人の皮を張り合わせて作られた表紙と、本に宿った魂が発現した凶悪な貌。超格好良くないですか! コレクションルームに置いてあるのですが、部屋に行くとたまに向きが変わっている気がします。これ、中に何か入ってますかね……!

 初田晃一郎さんXアカウント:@KO_1LOW

 ゲーム制作において、グッと企画全体が引き締まる瞬間! それがタイトルロゴの完成です。こちらの公開と同時に、正式名称もお知らせします。今回のリメイク版のタイトルは、

『サバトの女王 Queen of Sacrifice.』となりました!

このロゴを手掛けて下さったのは、ご存じの方も多い「赤いメガネの偉い人」こと、東風輪敬久さん。実は皆さんもいっぱい、東風輪さんのプロデュースされたゲームやメディアミックス作品、自らデザインされたそのタイトルロゴを目にされているはずです。僕が以前にシナリオを書かせて頂いた、『Death end re;Quest』という作品でもご一緒させて頂いているのですが、今回の企画でも快くお力をお貸し下さいました。有難うございます! 

これはアガりますね! ロゴの格好良さに、負けない内容にしなければ……!!

引き続きBakinでの開発が進みます。深夜に寝て、起きるとすぐにPCでエディタを立ち上げ、作業に入るこの感覚。いったい何年ぶりでしょうか……!

これはサバトの企画が終わっても、そのままライフワークになって行きそうな予感がします。

現在は本格的にスクリプト作成……つまりイベント作成に入っているのですが、スイッチを使って条件分岐、それによる自動実行と並列処理可能な自動実行を組み合わせて、話の流れを組み立ててゆきます。

誰々が喋っていると、友達が3人現れる、などです。

僕の触っていたころのデベロッパーソフトではこの「並列処理」の機能が無かったので、

例えば三人キャラクターが画面外から現れる場合も、

一人が動いて現れてから停止→続けて二人目を動かして停止→さらに三人目を動かして停止→三人「「「やっほー!」」」

といった演出になったのですが、今では条件分岐スイッチがONになった時点で、実行中のプログラムイベントと並行して実行可能となっているので、

三人同時に現れて→三人「「「やっほー!」」」が出来るようになりました。今のデベロッパーソフトユーザーの皆様にとっては当たり前のことかもなのですが、こういった「プログラムセンスのある処理」に近い動きを制御できるのも、やはり進化のひとつと感動してしまいます。

とはいえそのために「ページ分岐」で自動実行条件の分岐を、計算・管理しながら組む必要が出て来るので、作り手の作業もそれに合わせて、細心の注意を払って行う必要が生まれます。「今晩中にここまで組んじゃわないと忘れるな」と、つい時間を忘れてしまうのもまた醍醐味。

なのですが、皆様はくれぐれも、夜更けに眠い頭で「誤って保存」など行わないよう、適度に休憩は入れて下さいね。

 こうして、Bakinの組み方と癖がわかってきて、手足のように操作できるようになると更にまた製作が楽しくなってきます。ベッドに入って、「次はどのイベント作ろうかな?」と妄想するようになれば、あなたにも完全に流れが来ていますね!

とんでもない㊙情報が飛び込んできました。「ログイン ソフコン」誌ファンの皆様にとっては、これ以上ないほどの吉報、僥倖。

 これまで業界の紙面から、そして往年のゲーム制作アプリからと、様々な角度より“未来のクリエイター”を見守り、送り出して来られたあの杉肉元副編集長が、「長生きの秘訣」といった生活の知恵のご披露と、「古いゲームを遊ぶ」という温故知新な発見型コンテンツを展開して下さるそう!

 もはや初老に差し掛かっている、僕のような「ログイン ソフコン」誌ファンの皆様にとっては、垂涎の癒しコンテンツとなるのではないでしょうか。

VTuberと化す杉肉さん、ガワとなるキャラクターがどうなるのか、お声はボイスチェンジャーを使われるのか、ゲストに僕の恩師・矢野大将さんやQ貫さん方は出演されるのか、当時の著名ソフコンクリエイターの皆様も登壇されるのかなど、期待が膨らみますね!

今でも色々な形でクリエイターを応援して下さるご姿勢に、尊敬の念が尽きません。全力で楽しみに待ちましょう!

ちなみに、いつ実行されるかはまだ未定です。杉肉さんや僕のXアカウントをチェックして下さいね!

杉肉さんXアカウント:@shiromeshi4

祁答院Xアカウント:@Kedwin

届いたファイルをパソコンで開いた瞬間、喜びに椅子から転げ落ち、悶絶して泣く瞬間は人生にままある事ですが、ゲーム作りにおいて何度か来る“その瞬間”のひとつに、「ロゴ」に続いて「キャラクターデザイン」の初稿が上がってきたときが挙げられます。

「サバトの女王 Queen of Sacrifice」のキャラクターデザインは、お友達の作家様、イラストレーターの白羽奈尾先生にお願いしました。今回、ここではまだ一部のチラ見せで恐縮ですが、いやもう、めちゃめちゃに可愛いのです! こんな子をシナリオで動かすことが出来るなんて! 作家冥利に尽きます! 白羽先生、素晴らしいキャラクターを生み出して下さり、本当に有難う御座いました!

この子たちも、近日ご披露予定です。ご期待下さいね!

白羽奈尾先生 Xアカウント: @dmyomyo

ゲームを彩る素材がそろってきたら、いよいよそれを組み込んでゆきましょう。

頑張って頑張って作った素材が、ゲーム中に登場する瞬間……それは苦労の報われる、大変に幸福な瞬間でしょう。たとえるなら、プラモデルに最後の頭部を乗せる喜びに近いでしょうか。

幸い、自分で描いたドット絵をBakinに組み込んだ時は、「アニメーションにかけると1モーションだけ1ドットズレてピクピクする」、といったことは起きずに、「昔取った杵柄!」とほっと胸をなでおろしたのですが、今度はいよいよ立ち絵を入れてみます。

Bakinは立ち絵のアニメーション表現にもしっかり対応してくれます。表情差分の管理も、いちど組み込んでしまえば後はイベント上で簡単にキャラ絵、表情と呼び出すことが出来てわかりやすい印象でした。今後時間があれば、よりいろんな表情とアニメーションを増やして、さらに元気いっぱいのキャラクター表現をしたくなりますね。……こんなところにも「拘り沼が」!

このたびのゲーム制作において、Bakinに含まれるハイクオリティな「サンプル楽曲群」の使用をご許諾頂いているなかで、やはり「サバト」ならではの楽曲も欲しいと思い、各所にお願いしてグリグリメンバーの濱本麻央(MAO)氏に数曲、書き下ろして貰えることになりました。

彼といえば『コープスパーティー』シリーズのすべての楽曲を書いてくれていることでご存じの皆様も多いかと思いますが、キャラとシーンに寄り添ったサウンドワークは折り紙付きです。今回も彼ならではの解釈で「サバト」の世界を展開し、エモーショナルな音楽でフィールドを彩ってくれています。とても素敵な曲の数々、こちらもどうぞご期待下さい!

濱本麻央(MAO) Xアカウント:@maoma

jaJP